北大理系大院生の研究生活

大学生・院生向けの有益情報(研究・お金)の提供、研究日記、読んだ本の紹介。

はじめての研究:卒業研究の進め方①

 研究室に配属されたばかりで卒業研究を何から始めればいいかわからない研究初心者向けの記事。なお本記事は研究テーマを指導教員から与えられていることを前提にしている。

 

step1.先行研究・分野の勉強をする。

 まず、指導教員や先輩方に読むべき論文(はじめは1~3本くらい)を教えてもらい、その論文の本文を読む(DeepL等翻訳サイトを使用しても良い)。意味のわからない英単語をググる。一通り読んだら理解できなかった箇所について先輩・教員に質問する。その際におすすめの教科書を教えてもらい、勉強する。

 

step2.実験方法・装置の使い方を先輩方に教えてもらう。

 教えてもらう際は詳細なメモを必ず取り、わからないことがあれば質問しましょうスマホで写真をとるのも有効です。一度教えられたことができないと先輩方のより多くの時間を奪うことになるだけでなく、先輩方のあなたに対する評価が落ち、あなたが損をするおそれがあります。

 

step3.教えてもらった実験方法でサンプルを自力で作製する。

 初回は必ず先輩方に見てもらいながら実験すること。初めて自分一人で実験するとたいてい失敗するので。

 

step4.指導教員と卒論のゴールにたどり着くまでに必要な実験・データについて話し合う

ある程度研究内容について勉強していないと、教員と話し合ってもちんぷんかんぷんになる可能性があるので、できるだけ勉強しておくこと。

 

続きは別記事で

 

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需要よりも好奇心を優先しよう

 就職先を選択する上で、よく言われるのが「需要」と「自分の好奇心・やりたいこと」の両方を満たせる領域の職種を選べというもの。しかし、誰もがその両方の条件を満たす仕事につけるとは限らない。そんなときはどちらを優先すればよいのだろう。この問いに対して、私の場合「需要よりも自分の好奇心を優先させたほうがよい」と答える。なぜなら、需要が多いということは、それだけ大勢の人がその仕事に携わっている、あるいは携わりたいと考えているということであり、自分がその仕事をしなくても他の人が代わりにやってくれる可能性が高い。一方で、需要の少ない仕事は自分がやらなければ誰もやってくれない可能性が高い。それならば、自分以外にいくらでも代わりがいる仕事を選ぶより、自分の好奇心・やりたいことを優先したほうが有意義ではないだろうか。この考えは、大学の学部選び・研究テーマ選びにも適用できると思う。

 ただ、上記は大雑把な意見であり、あくまで優先順位の話である。実際には個人の価値観によって需要と自分の好奇心のバランスを考える必要はあるだろうし、需要の多い職業の中にも自分にしかできない仕事というものも存在するだろう。加えて「仕事は需要しか満たせないが、趣味の方面で自分の好奇心を満たす」、「好奇心は満たすが収入(需要)が低い仕事を本業にし、足りない分は副業で稼ぐ」など多様な生き方もあるだろう。

 

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おすすめの関連論文検索サイト:Reserch rabbit

今回は関連論文検索サイト「ResearchRabbit」について紹介する。

www.researchrabbit.ai

 

Reserch rabbitで何ができるかというと、ある論文のタイトルをサイトの検索エンジンに入力すると、その論文に関連した論文を下図のように可視化してくれる。

f:id:ysksoftame:20220319121705p:plain


執筆している論文の参考文献を探すときや、新しい分野を勉強するときなどに使うと便利なツールである。

さらに、Reserch rabbitは検索した論文を保存しておくことができ、登録した論文に関連した内容の論文が発表されたときなどに、自動でお知らせしてくれる機能も付いている。

 

詳しい使い方などは下記の動画を参照のこと。


www.youtube.com

 

 

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研究がうまく行かないパターン① ゼミで言われたことだけを実験する

 研究のプロである指導教員の言うことだけをやっていれば研究はうまくいくように思われるが、実際はそうはいかない。まず前提として、指導教員は多数の学生および研究テーマを抱えているため、すべての研究テーマの進行について熟考する時間を持っていない。そのためゼミなどで研究報告をした際に指導教員から与えられるアドバイスはその場での思いつきがほとんどであり、吟味された情報ではない。つまり、指導教員も的はずれなアイデアを言う事があるのだ。当然、指示通りの実験をしてもいい結果は得られない。

 研究を成功させるには、指導教員から与えられた方針が本当に妥当かどうか学生自身が吟味し、情報の取捨選択をする必要がある。そのためには、先行研究をよく調べることと、実験方法・実験装置のメカニズムについての深い理解、および研究のゴールから逆算し必要なデータが何かを整理しておくことが重要だと思う。

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博士課程における最良の経済支援制度はどれなのか

 博士課程の収入源について考える。

まず、博士課程の収入源は主に以下の6つに分かれる。

1,学振:月20万

2,文科省フェローシップ:月15万

3,JSTフェローシップ:月15万

4,JASSO奨学金(貸与型):月12万

5,民間奨学金:財団による

6,リサーチアシスタント:大学院・研究室による

 

 単純に月収だけで比較すると学振の20万が最高額であり、学振とフェローシップ制度が併給不可であることを踏まえると学振とフェローシップ両方に内定した場合、学振を選択するのがベストであるように思える。しかし、必ずしもそうとは言えない。なぜなら、JASSO奨学金は学振とは併給できないが、フェローシップとは併給可能なのである。JASSO奨学金には返還免除制度があり、奨学金受給者の約4割が半額免除、もしくは全額免除に採用される。つまり、フェローシップとJASSO奨学金併給し、かつ返還免除に選ばれれば、実質月収21~27万を得ることができるのである。さらに、学振は副業の厳しい制限があることを踏まえれば、学振ではなくフェローシップとJASSO奨学金を併給しつつ、返還免除を狙うという戦略は非常に魅力的に思える。返還免除は業績によって決まるため、研究のモチベーション向上にもつながる。奨学金を元手に株式売買や仮想通貨をすることもできる。加えて民間奨学金リサーチアシスタントも獲得することができれば、年収400万越えも夢ではない。

 以上の理由から、私は学振ではなく、フェローシップとJASSO奨学金の併給をお勧めする。

 もちろん返還免除の獲得には不確定要素があるため、堅実に学振を選ぶのも手である。

ブラック研究室を見分けるチェックリスト

 ブラック研究室にありがちな特徴をリストにしてまとめてみたので研究室選びの参考にしてほしい。ただし、以下の特徴に当てはまる研究室が必ずしもブラックだとは限らないので、収集した情報を自身で総合的に判断しブラックかどうかの見極めを行うこと。

 

1.研究室のホームページがない。

2.教授がここ数年論文を出していない。(リサーチマップで検索)

3.教授が科研費を獲得できていない。あるいは少額の科研費(基盤Cなど)しか獲得できていない。(「教授の名前 科研」で検索。)

4.学生の数が少ない。研究室に所属している学生が失踪、不登校になっている。

5.オーバードクター(D4~D6)の学生がいる。

6.Nature,Scince,Cellやその姉妹紙などの有名雑誌ばかりに論文を発表しており、インパクトファクターの低い雑誌に論文を投稿していない。

修士課程を修了できるか怪しかった先輩のその後

 

 

ysksoftame.hatenablog.com

 

 以前の投稿で、修士課程の修了が怪しかった先輩の話をしたが、結果からいうと先輩は無事修了した。ただ正直言って、先輩の修論のレベルはかなり低かった。先輩が行った実験はすべて失敗していたといってもいいだろう。修論発表スライドも文字や図が見づらくレイアウトもなってないため、助教がスライド資料を作成していた。修論発表はお通夜のような雰囲気だった。質疑応答も殆ど答えられていなかった。助教曰く発表後の合否の審査では先輩を落とす方向に話が進んでいたらしいのだが、うちの教授の嘆願によりお情けで合格にしてもらえたらしい。おまけに新型コロナウイルスの流行のおかげで参加予定の学会が開催中止となり、修了要件に含まれているはずの学会発表への参加も免除してもらえた。

 これだけひどい結果を残した先輩でも修士課程を修了できた理由は、不登校にならなかったことと、曲がりなりにもある程度の量の実験をこなしたことで教授の信用を勝ち取ったことだと思う。もし、修士課程を修了できるかどうか悩んでいる人がいるのであれば、「どういう行動をとれば教授の信用を得ることができるのか」という視点で考えてみると良い結果が得られるかもしれない。